「……な、何だと……??」
「う、嘘だろう……?」
 小さな紙切れと言えども、それは貴方の運命を握るもの。
 良くも悪くも、それに忠実に生きると貴方にとって今年はとても晴れやかな物になる事でしょう。 「……はぁっ?!」
 家に突然押しかけてきて言われた言葉は、彼女の頭には聊か理解が困難だったようだ。
「だーかーらー! もうすぐお正月だから、一緒に初詣行こうよっ!」
 そう言ったのは、オレンジの髪の毛にしっぽ髪がトレードマークのナナ=カルラ。ちなみに先ほど疑問符を出したのは、茶色い髪にポニーテールのフレアだ。
 もう12月も終わり、少し前にR学園も例に漏れず冬休みに入りそれぞれ宿題をそっちのけで遊ぶ毎日を送る時期である。まぁ、フレアは夏休みの苦い経験を思い出し、早めに宿題を済ませていたようだが。
「初詣……? 何でそんなものに行くんだ?」
 そしてそんな時に、ナナは突然家に押しかけてきたのだ。
「何でって、何? フレアってば初詣行かない組なのっ?!うああぁ、ここにもダメっ子が一人ぃ!!」
「そんな事言われても……って、おぃ待て。ここに“も”って何だ。“も”って」
 押しかけられ、喚かれ、おまけに指差され……いくら冷静なフレアでも少しキツかったらしい。
「ここに来る前にさー、他のとこも回ってきたんだけどね? さっきのフレアと似たような返事を返したのが二人!!みっちゃんと尚ちゃんだよ! もう、尚ちゃんなんてそっくりそのまま同じ答えだったんだってば!!」
「……おー……、それすっげぇ嫌だな……」
 思わず立ってしまった鳥肌に、フレアは両腕を摩った。
「ねぇ、フレア。嫌でしょ?あんなハリセン馬鹿と一緒だなんて!」
 それに追い討ちをかけるかのように、捲くし立てるナナ。
「だから!! 初詣、行こっ?」
 ――その黒い笑みに、落とされたのは果たして何人居たのだろうか……?



「久しぶり〜。元気にしてた?」
 ここはR学園の近くにある公園の入り口付近。どうやらここが待ち合わせ場所となっていたらしい。
「元気って……ついこないだ会ったばっかじゃねぇか」
 元気良く訊いてきたココロに、フレアは少し呆れた表情で返した。
「フレア、久しぶり」
「よー、刳灯も初詣行くんだな。あれか?ナナに脅された口か?」
「いや、俺は最初っから兄ちゃんと行くつもりだったし……」
 そう言って後ろを指差す。刳灯の後ろの方には、相変わらずにこにことしっぱなしの華南。
「なるほど、華南さんも行くんだな」
 刳灯と少し話した後、フレアは輪の外に抜け全体を見渡した。
 来ているのは、フレア、ココロ、刳灯、華南それに企画者であろうナナや美沙君、沙雪さん等……。
「よし、新年明けましてハリセン見なくてOK!」
 誘いに来たときナナが言っていた台詞がまだ残っているらしい。フレアは小さくガッツポーズをすると意気揚々とナナの所へと向かった。

「あ、フレア!ちゃんと来たんだね、よしよし!」
 自分達の方へ向かってくるフレアをいち早く見つけたナナが、はたはたと手を振って迎える。
「よしよし……ってか、一応約束したしな」
 頭を撫でようとするナナの手を押しのけながら、隣に居た美沙君に小声で訊いた。
『お前も脅されたのか……?』
『……“ナナ”にじゃなくて……母さんに脅された……』
『――ご、ご愁傷様で……』
『……おぅともよう……』
 ぽんぽん、と肩を叩いて苦笑するフレア。美沙君は顔に縦線が入りまくって落ち込んでいる。
「何やってんのさ、二人ともー。ねぇ、さゆちゃん?」
「そうよねぇ、ナナちゃん。 どうしたのよ、みっちゃんもフレアも」
 無邪気な笑みで笑いあう二人。無論、言うまでも無いがナナは――幾分、黒い笑みではあるのだが。
「いえ、何でもないです」
「右に同じく」
 その笑みが怖かったのか、フレアと美沙君は一緒にフルフルと頭を振った。
「……そういえば。 なぁ、ナナ。後は誰が来るんだ?」
 頭を振るのをやめ、思いついたようにフレアが訊く。
 ナナは一瞬、キョトンとしたがすぐに笑うとまたもや手をはたはたを振りながら答えた。
「やっだー、フレアってば言ってなかったっけ?」
「聞いてないです」
「そうだったけ?ま、いっか。んーとねー、今来てる人と、あとは尚ちゃんとファルちゃん達とシオちゃん達と」
「……は?」
 指を折りつつ言うナナに、フレアは聞いてはいけないものを聞いたような気がして、でも聞き返す。
「ちょっと待てよー、今何つった?」
「へ? や、だから尚ちゃんとファルちゃん達とシオちゃん達?」
 最初に“尚ちゃん”があるのはこの際許そう。……百歩譲って新年明けましてハリセンこんにちは、で許そう。だが、何だ?その最後に付け足した言葉達は……、フレアは思わずくらっと来た頭を抑えた。
「――何で……お前があいつ等と知り合いなんだよ……」
「にゅっふっふっふ、私の情報力を侮らないで欲しいね〜〜♪」
 にこやかに笑ってフレアの肩をバンバンと叩く。その笑みは……いつもよりも黒さが増しているような気がしてならない。
「……情報力とかンなもんじゃねぇだろ、既に」
 更に痛くなってくる頭を抑えながら、フレアは小さく呻いた。その場に居た美沙君と沙雪さんはわけがわからず、二人で顔を見合わせて肩を竦めた。

 それからしばらくした後、山下君が遅れてやってきた。ナナはそれを確認すると、フレアが袖を掴みながら訊いて来るのも半ば無視して、皆をひっぱって行った。
 ちなみにフレアの訊いていた事というのは至って普通の事である。
 ――おぃ、あとのヤツ等はどうすんだよ……?



「うああぁい、人がいっぱあ〜〜い!!」
「んじゃ、お前帰れ」
 ここは先ほどナナ達が向かった神社の一角。
 この神社はR学園の最寄の駅から2個目の場所に位置する、かなり有名な所だった。何でも歴史の本にも登場する所だそうで。そのせいなのか普段から参拝客が絶えず押し寄せ、初詣ともなると一種のゴミ溜めにも似た場所になる。
 そして、そんな神社の少し奥まった場所に――彼らは居た。
「すげぇなぁ、こんなに人がゴミみたいに見えるなんて俺知らなかったぜ! なぁ、ビスターそう思わねぇ?」
 キラキラと眼を輝かせて何つー事を言うんだこの馬鹿は、少しだけ脳裏によぎったその言葉を、ビスターは寸での所で押しとどめた。何故かと言うと……ファルの言うとおり、本当に人がゴミに見えたからだ。
「確かにな……、これだけ多いとは思わなかった」
 たまたま泊まることになった宿の主人から突然渡された手紙。差出人は全然知らない名前だった。
 人違いか?、そう思ったものの宛名ははっきりと自分の名前。開けるか開けまいか、しばらく悩んでいたのだが……後ろから伸ばされた手に手紙を奪われ、勝手に開けられてしまったのだ。
 ――その手の主は、言うまでもなくファルである。
『え……、何この人、何で俺の事知って――? っていうかフレアの知り合いっっ?!?!』
 その手紙を読んだ第一声はこれだった。
『は?お前知り合いなのか?』
 少し驚いた表情で訊くビスターにファルは苦笑して答える。
『にゃ……はは、昔のお友達v』
『――ってことはゾンビ?』
『……何で』
 至極真面目な顔で訊いたビスターに、少し冷や汗をかきながらファルは言った。
『あー……いつか話すから。兎に角、昔の友達なんだよ』
 まぁ、そういう事でありまして。
 ビスターとファルは実も知らぬ差出人の言うとおり、この神社へとやって来ていたわけだ。
 ちなみに、“え、何、あの世界とここは繋がってんの?”とか思っちゃうかもしれないが……えぇい、うっさい!パラレルワールドだから何でもありなんだいっ!

 そして、所変わってこちらは神社の中でもかなり人の集まる場所……おみくじ売り場である。
「なぁ、シオ。俺が言うのも何だけどさ、俺等すごい目立ってねぇ?」
「う、確かにさっきから視線が痛いからな……」
 先ほど話に上がっていた“シオちゃん達”ご一行である。と言っても、二人だけなのだが。
 彼等もまた見知らぬ人(ナナ)からの意味不明な脅迫まがいの手紙を受け取り、ここにやって来たのか……というとそうでもないのである。
 実はフレアも知らなかったのだが、シオちゃんことシオ=バギアンとナナは昔からお友達だったらしいのだ。うーみゅ、作者も知らなかった新事実(待て、とか言うツッコミはなしの方向で)。
 ビスター達と同様、たまたま泊まった宿の主人から渡された手紙。差出人を見ると、旅の途中で知り合ったオレンジ頭のヤツだったのだ。少し首を傾げながらもすぐに封を開け中身を確認する。……そこには、こっちの世界での新年を祝うから手土産持ってやって来い、というものだった。
『相変わらず横暴なヤツ……』
 今のところ、それほど急いだ用があったわけでもないので、シオは一緒に旅をしているラクラスにざっと説明すると手土産を持って――結構律儀なのである――いざやって来たのである。
「ったく、いきなり手紙よこして来いだなんて……アイツくらいなモンだな」
「それで行く方も行く方だと思うぞ?」
 ド派手なピンクのマフラーを外しながら、そしてラスは顔に巻いた包帯を外しながらそれぞれに呟いた。



 さてさて、こちらはナナ様ご一行。
 ご一行は既に電車を経て、ファルちゃん・シオちゃんご一行の待つ神社へとやって来ていた。
「うっわ〜、相変わらず、すげぇ人の多さだな……」
 毎年来ているのであろう刳灯は、後ろに居る華南を振り返りながら思わず呟いた。華南はというと……やはり始終笑みを絶やさぬ怪しい人である。
「……ぼ、僕人酔いしちゃいそう……」
 人間サイズになっているココロが口元を手で覆いながら先に進む。
 ちなみに、今ここに来ている人物を紹介しておくと、だ。
 まず、企画者のナナ。それに脅されたフレア、美沙君、山下君。あとは自主的に来る予定だった刳灯に華南。喜び勇んで飛びついてきたココロに沙雪さん……とまぁ、こんな感じである。
 よく言う“いつものメンバー”ってヤツだ。
 他にもいっぱい人を誘っていたようだが、皆家族との団欒を優先するとか、年越しTVや猪○ボンバイエを見るとかで断られたのだ。その点“いつものメンバー”はほとんどが特殊な家庭だし、TVを見まくるというやつ等じゃないのですんなりと(?)OKになったのだが。
「え〜っとね……ファルちゃん達は確かここら辺に呼び出したんだけど」
「いや、お前知り合いなんじゃなかったのか。“呼び出して”って何かヤバイと思うんだが」
 さり気なーく、手で小さくツッコミをしながらフレアが言う。けれどそこはナナ。にっこり笑って対応した。
「やだなぁ、フレアってば。私がいつファルちゃん達と知り合いだなんて言った?」
「――知……り合いなんじゃないのか?」
「うん、会ったことないもん。 ただ手紙を送りつけただけで」
 さらりと返された言葉に、フレアは立ち尽くした。
「ちょっと待て、それじゃここにあいつ等が来るとは限らないじゃねぇか」
「ん、大丈夫! ちゃんとフレアの知り合いだって書いておいたから!!!」
 準備は万端ですよー、とガッツポーズをする。
 ああぁ、うぅ……何だってこんなヤツになっちまったんだろう?、フレアは心の中でそっと呟いた。――本当に、学園に転入してきた時と人が変わりすぎだぞナナさんや。
「ナナ」
 自分達より高い位置から名前を呼ばれ、ナナはキョロキョロと声の主を探した。
「あのさ、もしかして……いやもしかしなくともその“ファルちゃん達”ってあれじゃないのかい?」
 声の主は山下君。皆より頭一つ分大きい彼は――と言っても男性の標準くらいなのだが――遠くに見える怪しい二人組みを指差して言った。
 ご名答、あれこそ我等がファルちゃんご一行であった。
「あーーっ!!!」
 指差した方向を見て、ナナが叫ぶ。
 その反応に皆はあぁ、あれが噂の……と同じように指差した方向を見る。――が、
「どうしよう、私、顔わかんないや!!」

 ずべっ

「わ、わかんないなら、わかったような声上げるなって!!」
 一緒になって指差す方向を見ていた刳灯がやたら派手にずっこけた。そして立ち上がりながら喚く。刳灯ほどではないにしろ、皆もそれぞれナナをジト目で見ていた。
「だって、そんなぁ……」
 皆にジト目で見据えられたのが怖かったのか、少し涙目になりながらナナがぼやいた。けれど、一人早くジト目を解除したフレアの言葉で救われることになる。
「あいつ等だよ。あんなやつ……これ以上居てたまるかっての」
 ツカツカと山下君曰く“怪しい二人組”に歩み寄るフレア。皆は遠巻きにその様子を見守った。

「……なぁ、ビスター。俺達、もしかしてすっごいヤバめ?」
「うーん、俺“達”じゃなくて、お前だけすっごい、ものすっごいヤバめ」
 ファルの容姿故か、新年おめでたい!で酔っ払ったおっさん達が周りに集まってきていたのだ。
 おっさん達の目つきはトロンとしていて、とてつもなくスケベな感じだ。――早い話が、女の子だと思われているわけである。
「俺様、操の危機っ?!」
 嫌じゃぁぁーー!!、と叫びつつも後ろに引っ込むことしか出来ないファル。だが、そんなファルを殴りつけたヤツがいた。無論、ビスターでは、ない。
「なぁにが、“俺様、操の危機?”だ。このボケが」
「痛ぇなぁ、ビスター後ろからだなんて卑怯だぞっ!!」
 後ろから頭をこれでもか、とド突かれたファル。その頭を抑えながらばっ、とビスターの方を向く。しかし当のビスターは驚いた顔をして後ろを見るばかり。はにゃ?そう思いながら、ファルもまた後ろを振り返った。
「――……フ……レア……?」
「久しぶりだな、ファルギブ」
 ナナの黒い笑みだってこれには絶対負ける!そんな微笑でフレアはファルに詰め寄った。
「ああぁぁあううぅあ、ごごごめんなさいい……?!?!」
「はっ、今更謝ったって無理だっつの。 それにな、謝るくらいなら……最初っから来るな!!」
 特大級の雷を落とす。その様子を見て、何故かビスターの目が輝いていた。
「ったく、お前がナナの策略にハマったりするから行けないんだぞ!あ、ビスターさんでしたっけ?こんな馬鹿と旅してるとものすごく辛いでしょう?早く何処かに置き去りにしたほうがいいですよ」
 真面目な顔で言ってくるファルの昔のお友達に、ビスターは相変わらず目を輝かせたまま答えた。
「いやぁ、そうなんですよー。やっぱり何処かに置いてくるべきでしたね〜」
 はっはっは、と笑いながらファルそっちのけで話を進める。
 そして、しばらく二人でファルの効率良い埋め方を話し合った後、泣き喚くファルの首根っこを捕まえてナナ達の所へと帰ってきた。

「初めまして〜。突然のお手紙すいませんでした」
 やって来たビスターに手を差し出すと、無礼を(一応)詫びるナナ。
「いや、いいですよ。ファルの知り合いに会えたのが嬉しいですし」
 ファルの扱い方とかいっぱい教えてもらえそうですもんね、とビスター。二人して握手をしながら不気味な笑いを浮かべている様はとんでもなく新年の幕開けにふさわしくない“黒い”ものであった……。
「あとは……“シオちゃん達”とやらか?」
 ナナとビスターの黒い組を遠巻きに見ていた美沙君がぽつりと言った。
「あぁ、たぶんあいつ等は――」
 全てを言い終わる前に歩き出す。黒い二人を除いた皆がそれに続いた。フレアが向かったのは、神社の境内にあるおみくじ売り場。そして、そこにはフレアの予想通り“シオちゃん達”が居た。
「もしかして……あれか?」
 美沙君が指差した方向にいるのは、ピンクのマフラーを持った少女と、包帯をしまくっている少年。どんぴしゃ、彼等こそが“シオちゃんご一行”である。
「――あぁ、そうだよ」
「……フレアってホント、変なヤツとばっか知り合いなん――あ、いえ、嘘です」
ぽろりと出てしまった本音、その瞬間フレアがギロリと美沙君を睨んだ。
「んじゃ、私はあいつ等呼んでくるから……ナナとビスターさんを頼む。 おぃ、ファルお前も行くぞ」
 フレアはそう言うと、かなりげっそりとした表情でシオ達の方へ向かっていった。その手には、首根っこを掴まれおいおいと泣くファルギブさんが一体あったとか。

「なぁ、ラス。お前さー、その包帯全部取れよ」
「シオ……お前こそ、その派手なマントと意味不明な帽子も取ったら?」
「「……」」
 フレアがこちらへすごい勢いで向かっている頃、シオちゃんご一行は何故か喧嘩の真っ最中。
「大体っ! 何でこんなトコに来なきゃいけないんだよっ!」
「それは……っ、呼ばれたからに決まってんだろうが!」
 土産を入れた袋をブンブン振り回しながら応戦する。あーあ……そんなに振り回すと――

  べしゃっ

 ――お約束……。
 近くまで来ていたフレアのお顔にごっつんこ、……ていうかどべしゃっ。
「ふっふっふっふ……、いい度胸だな、シオ……」
 ぎ、ぎぎぎぃ……。振り向きたくない、でも振り向かなきゃ危ない、そう思いつつ少しずつ首を動かす。そして見えたのは遠い昔に色々とあった人の顔。
「フフフフ、フレア……? 何でここに……っ?!?!」
「さー、何でだろうなぁ? なぁ、シオ?――そりゃ、こっちの台詞だってんだ!」
 先ほどのファル達の時とは比にならないほどの黒さを讃えた笑みに、シオは愚か、ラスやファルまで凍りついた。ファルなんて未だに首根っこ掴まれたままだし。
「フッ、フレア久しぶり!」
 びしっと敬礼の形をとったラス。そう、シオもそうなのだがラクラスも知り合いなのだ。
「久しぶり。……さて、何でここにお前等が来たのかお聞かせ願おうか……?」
「おおおおお聞かせって言ったって私達はナナに呼ばれたか――!!」
 はっ、となり口元を覆う。何故ならその言葉を言った瞬間、フレアの顔が一層怖いものになったからだ。
「ほほう……ナナが、ね……。ふぅーん、“ナナ”ね……」
 ぎりぎりぎり、とファルの首を絞めていく。――ていうか、新年明けまして殺人です、とかなったらシャレにならないんだが……まぁ、人間じゃないからいっか。
「よくねぇしっ!! ってか、フレアッ、ぎぶっ、ぎぶぎぶっ!!」
 ビスターの時はまだふざける余裕があるのだが、如何せん今度は相手が悪い。本気で涙目になったファルが助けを求める。

「ビスターさんってば、苦労なさってるんですねぇ」
「……そうなんですよ。あの馬鹿なんか出さなきゃ良かった、って後悔の念が渦巻いてます」
「大丈夫ですって!私なんか回りに変な人ばっかでもうヤになっちゃいますもん!」
「お互い、大変ですね……」
 てとてと、と世間話をしながら歩いてくるナナとビスター。何だか異様に気があったのか、さっきから愚痴の言い合いをしまくっている。しかし、今ナナの言った台詞を他の人に聞かせたら、絶対そっくりそのまま返されそうな気もするが。
「そういえば、うちの馬鹿ゾンビは何処に行ったんでしょう?」
「さぁ……フレアが持って行ってそうですけど……」
「あー、もー、フレアさんに迷惑かけてなければいいけど……」
 全くうちの子ったら……、そんな感じで心配する(?)ビスター。
 ――……いや、アンタいつからファルのお母さんになったんだ。
「あ、噂をすれば、ですよ。ホラ、やっぱりフレアと一緒に居る」
 ナナの指差す方を見れば、顔に縦線を入れまくった男女二人と、もう事切れているような――実際には“事切れる”なんて器用な事出来ないが――ファルが一匹。そしてそれを持ったフレア。
「あっちゃー、やっぱり迷惑かけてたみたいです。 僕、引き取ってきますね」
 そう言うとぱたぱたとフレアの傍まで走って行き、ファルを引き取るビスター。
 ――えぇ、ツッコミませんよ。あえて、ツッコんだりしませんよ!!!



 * * *



「よっしゃぁ、これで全員集まったね!!」
 企画者ナナ。ガッツポーズを取りつつ、フレアにごりごりと頭を殴られるの図。ナナがひっそりこっそり涙目になっているのは、当然であるし、自業自得でもあるのでこの際無視しておこう。
「これで……全員なのかい?」
「うんっ、全部で12人!!50人誘った内の厳選された暇人さん達だよんっ!!」
 ぐーりぐりぐりぐりぐり。
 フレアの手に入る力が一層増した。
「――ま、さっきの言葉は聞き捨てならんかったが、とりあえずお参りをしようじゃないか」
 いい加減ナナを怒るのも疲れてきたのだろう、美沙君がちゃっちゃと先に進んでいった。
「……そうだね。ようしっ、願い事するぞう!」
 同じようにココロも続いた。たったった、と人ごみを上手に避けながら本堂まで走って行く。

 着いた本堂は、甘酒を皆に配っていたり火が焚かれていたりして、他の所よりも人が多かった。そして、冬だというのにかなり暑い。首に巻いていたマフラーをとり、手でぱたぱたと扇ぎながら、ココロは美沙君と一緒にお参りをした。
 チャリ〜ン ガラガラガラ
 お賽銭を投げ込み、でっかい鈴のついた縄を振る。
 ――決してお金を投げた後にうがいをしているわけでは、ない!!
「今年こそ願いがかないますように……」
 そう口に出し、当の願いは心の中だけで呟く。何を言ったのだろうか?
 二人はそのまましばらく賽銭箱の前で祈りを捧げた。……しかし、たかだか5円でそんなにいっぱいの願いをかなえてもらうつもりなのだろうか?それとも、そんなにかなえて欲しい願いがあるのだろうか?……それは本人のみぞ知る、というヤツだ。
「よしっ! 今年こそ頼むぜ神さん!」
 後からやってきた皆もそれぞれに賽銭を入れ、願いをかける。
 いつもはおちゃらけている彼等だが、こういう時に見せる顔はどこか悟っているようで少し怖くもなる。こんなヤツ等でもそれぞれに、苦労しているのだ。
「俺様の美貌がアップしますように、ビスターがもっと優しくなりますように……」
「ファルが僕の前から消えてなくなりますように、早く普通に暮らせますように……」
 ――……この二人は他の人と違って、頼む願いがあまりにも哀しすぎるのだが。

「さぁて!! それじゃ、年明け恒例の運命を決めるくじを引きにいこっか!!」
 願掛けも終わり、甘酒もちゃっかり頂いてきたところでナナが声を上げた。
「くじ……? ってあそこで売ってるおみくじの事か……?」
「うんっ。 あそこのおみくじってね、よく当たるって評判なんだよ!」
 甘酒が入っていた紙コップを近くのゴミ箱に捨てながら答えを返す。皆も紙コップを捨てながら巫女さんの売るおみくじ売り場を見た。……なんつーか、巫女さん目当てに来ているような輩がやけに多く見えるのは気のせいであろうか?
「よく当たるのか。ふむ、それじゃ大凶を引いたやつは大変だな!はっはっは」
「そんな事言ってるヤツが引くんだよな、大凶って」
 美沙君だけにやたらと風当たりが強い山下君。けっ、と言いながらさも軽蔑したような視線を送る。されどそこは美沙君、いつもの高笑いで乗り切る。
「はっはっはっは、その通りだ! なぁ、山下君。君が引くんだろう?え?」
 わざわざ山下君の傍まで近寄って高笑いを続ける。
 そんな二人を見て、シオがぼやく。
「どっちも大凶引くんじゃねーのか……?」
「私もそう思うな」
「うん、僕もすごくそう思う」
「――私もそんな気がします……」
 揃いも揃って言う言葉に二人は聊か傷ついたようだ。
「そんな……さゆちゃんまでそんな酷い事!!!」
 いつもは二人の事を庇ってくれる(?)沙雪さんまでもがシオの意見に同意する。しかし、この場合は誰だってシオの方に同意したくなるってもんだ。
「まー、結果はすぐにわかるんだしさ。今言い合っても仕方ないじゃん? さ、行こ!」
 がるるるる、さながら猛犬のように威嚇しあう美沙君と山下君をなだめながら、ナナはおみくじ売り場へと向かった。後ろではファルがビスターに「おみくじって何?美味しいのか?」等と、とんちんかんな事を訊いて、しばかれていた。

 綺麗なお姉さん扮する巫女さんが売るおみくじ。どうやらこの神社、歴史的に有名だから、とか云々ぬかしといて結局はこれが目当てで来る客(てか参拝者)が多いみたいである。その証拠に、初詣には絶対いらないカメラを持ってきているヤツの多いこと、多いこと。側から見ていてとても虚しくなること請負である。
「1回200円。ってことは……200Gか」
 違う世界から来ているせいか、お金の単位も違うのだ。ビスター達とシオ達は自分達のお金とこの世界のお金を見比べながら盛大なため息をついた。――果たして、このお金が通用するのだろうか?そう、思ったからだった。
 しかしその様子を見ていたフレアがナナを引っ張ってきたのでその悩みは何処かへ消えた。
「こいつが勝手に呼びつけたお詫びに代金払うから安心しろ」
「――は、払わせて頂きまふ……」
 ナナの家は金持ちなのだ。たかが800円、すぐに出せるのだから問題ないだろう。実際にナナの財布には万札がぎっしり……ふっ、めちゃめちゃ腹が立ってきますなぁ。
「それじゃ、僕引いてくるね」
「俺も……、兄ちゃんは引かないのか?」
「あぁ、私は遠慮しておくよ」
 混んでいるおみくじ売り場。なので少しずつ行くことにしたようだ。最初に行ったのはココロと刳灯だった。フレアの事で色々と対立しあっている二人だが、こういう所ではやけに仲が良いのだ。
「んじゃ俺等も行くかー」
 次に行ったのはビスター、ファル、ラス、山下君の男4人組。なんだかんだ行って似たような系統だったのだろう。結構話が盛り上がっているようである。
「私はあんまり引きたくないんだが……やはり引かなきゃダメなんだろうな……」
 ちらりと皆の様子を伺いながら呟く美沙君。問答無用でナナとシオに引っ張られていく。フレアは……華南にもう一度「行かないのか?」と聞き、変わらぬ返事が返ってきたので「それじゃ私も行ってきます」と行って後から一人で行った。
 引きに行く前に、皆が引き終わってから開けよう!そう決めていたので、貰ってきた小さな紙切れを手の中に握り締めたまま皆が集まるのを待つ。どっくんどっくんと心臓が早鐘のように鳴り響いた。
「み、皆まだかな? もう僕早く見たいよーっ!!」
 手の中の紙切れと、人でごった返すおみくじ売り場を交互に見る。まだ最後に行ったフレアが引いていないみたいである。

 しばらくして、皆引き終わったので人の少なめの場所に移った。
「そっ、それじゃぁ一斉の〜で、で開こうっ!!」
 どっどっどっど、と相変わらず早鐘の心臓を押さえながらココロが言った。なんせ今年の運命がかかっているのだ。皆も顔には余り出していないが緊張しているのであろう。
「お、おっけ! じゃ僭越ながら私、ナナが掛け声を!」
 こほん
「一斉の〜で……おーぷんっっ!!!」

  バッッ

 ナナの掛け声(?)と共に皆は一斉に手に持っていた紙切れを開いた。そして、そこに書いてある言葉を読む。――おー、どんどん顔色が変わっていくヤツが多くてかなり面白いぞー。
 さて、ここで皆が引いたおみくじをざっと紹介しておくことにしよう。


 ナナ【大吉】今年は貴方にとって最高の年になることでしょう。
何をやっても上手く行き、皆は貴方の虜になります。
 ココロ【大吉】今まではちょっと損な役回りが多かった貴方。けれど今年は一味違う。
リーダーシップを取って皆を引っ張っていくと吉。
 刳灯【中吉】良い感じの年になりそう。でも気をつけて恋の方はあまり上手く行かないみたい。
早めにケリを付けておこう。
 シオ【中吉】色々と苦労させられる年ですが、その分嬉しいこともたくさんある年です。
信念を貫き通しましょう!
 ファル【小吉】去年よりは良い年になりそうです。
しかし隠し事があるとその事が仇になり、悪い年に変わってしまいます。
 沙雪さん【小吉】今年は恋に燃える一年になりそうです。
意中の人を落とすには、少しの犠牲は省みない勢いで望もう!
 ラクラス【吉】普通の年です。けれど貴方の心しだいですぐに悪くなっていく年でもあります。
ラッキーカラーは白。
 ビスター【凶】悪い年です。ちょっとした言葉や行動が、全て悪い事になって返ってきます。
パートナーを大切にしておきましょう。
 フレア【凶】良くないことが立て続けにおきます。
隠し事などが全て公になり、人から嫌われます。でもくじけないで頑張ると吉。
 山下君【大凶】最悪な事ばかりが起きる年です。
特に黒い物は貴方をより一層不幸に陥れるでしょう。ラッキーアイテムは本。
 美沙君【大凶】近年稀に見る悪い年です。かといって昔の事を思い出してしまうと尚更ダメ。
身近な人をもっと大切にしましょう。



「は……は、ははっはっはっはっはっは!!!!!」

 グシャッ

 おみくじに書いてあったことを読み、結果がとんでもなく悪かった美沙君。発狂一歩手前な状況での高笑いである。同じように結果がよくなかったフレア、山下君、ビスターもおみくじの紙を手の中で握りつぶした。
「うわ〜、私大吉だって!すごいついてる〜♪」
「僕も、大吉だったよ! ねぇ、皆は?」
 大吉組がはしゃいで皆に訊いて回る――が、【凶】系のくじを引いてしまった人たちにはとても訊けなかった。どんよりとした雲がそこだけに広がり、今にも雨が降り出しそうだったからだ。
「私は小吉でした。でもこの言葉通り、今年は恋に燃えますよ〜〜っ!!」
「俺も早いとこケリつけないといけないって書いてあるから、今年は恋に燃えるっ!!」
 こちらは恋愛熱血組。二人ともおみくじに書いてある言葉を鵜呑みにして、燃えすぎている。……燃えるのが早すぎてカスになるのも早いような気がするのだが。
「私は……まぁ、普通ってとこか?ラスはどうだったんだ?」
「俺?俺も普通かな……。ラッキーカラーは白なんだって」
 こちらはラカンネル組。二人して「ま、おみくじなんてこんなモンか」等と言い合っている。そして足早に境内の木におみくじを括り付けていた。
「ビスター?どうだった?俺、小吉だってさ!」
「――(パ、パートナーを大切に……。)
 そ、そおか良かったな!僕は凶だったけどファルが小吉なら大丈夫かな〜。 なははは……」
 そう言っていつものビスターからは到底考えられない、優しげな笑みを浮かべる。
 その上優し〜くファルの頭を撫でる。
「ビ、ビスター……?」
 普通に見れば、顔は引きつっているし瞳に涙が浮かんでいるので“怪しい”そう思うのだろう。だが、ファル視点でのビスターは今や白馬の王子様も顔負けな程に輝いていた。
「ビスタアァァーーーッッッ!!!」
 いつも、そういつもならこんな風にして抱きついてくるファルなんて骨の髄までど突き倒してさっさとゴミ箱に突っ込むことだろう。しかしビスターは自分が思っていたよりもおみくじにやられていた。
 ぎゅぅ〜〜っっ
(な、泣くなビスター!これも今年の運を少しでも良くする為なんだ……!!!)
 やり場のない怒りと悲しみに涙しながら、ビスターは遠いお星様に願った。
 ――頼むから、僕の運勢をもっとマシなものにしてください!!
 心からの、願いであった。
「黒い物……黒い物……うああぁぁ、やっぱりそうだったんだぁぁ!!!」
 何やら絶叫する山下君。近くで発狂寸前の高笑いを続けていた美沙君を見据えると、いきなりハリセンでしばき倒した。
「はーっはっはっはっは――ごふっ!!」
「やっぱりアンタのせいなんじゃないか!あぁ、今年こそ良い年になると信じてたのに!」
 ハリセン片手に美沙君を睨み付ける。――あ、あの……そのハリセンに付いちゃってる紅いモンは何ですかいのう?答えは……聞きたくないような気もするけれど。
「わっ、私だって今年は良い年になると思っていたんだぞ!くそーっ、神様のバカヤローッ!」
「バカヤローーッ!!」
 果たして仲が良いのか、悪いのか。終いには二人でハモりながら「神様なんてだいっ嫌いだー!」コールをしていた。……側から見ていてとても恥ずかしいのだが、それを気にするような人はいなかった。

「は……ははは、マジかよ……」
 皆がそれぞれに話していた時、フレアは一人奥まった場所へ行っていた。
 そして、おみくじに書いてある言葉を読み返す。
【良くないことが立て続けにおきます。
 隠し事などが全て公になり、人から嫌われます。でもくじけないで頑張ると吉。】
 これはおみくじの一番最初に書いてある大まかな運勢なのだが、それでも、フレアにショックを与えるのは十分な内容だった。
「また……か。またなのか……? もう――嫌われるのは嫌だ……」
 グシャリ、とおみくじを手の中で握りつぶす。そしてもう一方の手は顔を覆った。
「頼むから……もう一人にしないでくれ……」
 顔を覆った手の隙間からは、涙が零れていた。



 * * *



「それじゃぁ、良いお年を!!」
「また新学期に会おうな」
 あの後、境内の中の木におみくじを括り付けると、一向はそこで別れることにした。
「うん、またね〜。 良いお年をっ!!」
 ナナや沙雪さん、刳灯・華南達はまだ残って夜店などを回るらしい。あ、それにお守り類も買うとか言っていたな。そして、後の8人はもう帰ることにしたみたいだ。
「それじゃ」
 それぞれに別れの挨拶をし、8人はそのまま神社の最寄の駅まで一緒に行った。
「全く、あのおみくじ二度と買わないからな!あれは詐欺に決まっている!」
 この私が大凶だなんて有り得ない!ブツブツと呟きながら美沙君が先頭を行く。その隣では同じようにブツブツと呟く山下君。あの二人が先頭を行くからだろうか?人がどんどん避けてとても通りやすい。
 次にシオ、ラス、ビスター、ココロが続いた。「また遊びに来てね〜」等と言っているところを見ると、短時間ではあったが、かなり仲良くなったようである。
 そして最後尾に、フレアとファル。暗い雰囲気ではあるが、何かを話しているようだ。

「――何が書いてあったか知らねぇけど……気にすんじゃねーぞ?」
「気にするな……? はっ、それは中々難しいことだな」
 拳一つ分くらい高いファルが、覗き込むような形でフレアを見る。
 覗き込んだフレアの顔は、今にも泣き出しそうだった。
「何が……書いてあったんだ?」
 ファルのその言葉に言いよどんだフレアだったが、少し間を置いた後、言った。
「……昔のようにな、なるって、書いてあったんだ」
「っ! ――そ……うか」
 そのまま暫く黙り込んでしまった。前から聞こえる無邪気な笑い声が、やけに耳につく。
「でも……な、ファル。 待ち人が来るんだ、やっと」
 とても小さく呟かれた声。ファルはその言葉を聞いて少し笑った。
「そっか、良かったじゃないか。 俺もな、待ち人は“来る”になってた。だからアイツにも会えると思う」
「……良かったな。 私も――会えると良いな……」
「大丈夫、会えるさ」
 そう言うと、ファルはぽんっとフレアの頭に手を置いた。
「俺達は、絶対一人になんかならない」
「……あぁ、そうだったな」

「それじゃ、僕達はここで。おぃ、ファル!帰るぞっ!!」
「私達もこっから別方向だから。 ナナにもよろしく言っといてくれ」
 異世界組のビスター、ファル、シオ、ラスは駅で別れることになった。電車なんかで別の世界に行けるのか?なんて質問はご遠慮する。――いいんだ、パラレルワールドだか(以下略。
「うん、それじゃまた遊びに来てね!お土産持参で!!」
「……はいはい、お土産持参で参りますとも。その代わり!ココロもちゃんと来るんだぞ?」
「わかってるって! 迷わないようにフレアも一緒に行くからっ!」
 ココロとシオが盛り上がっていると、ホームに電車が入ってきた。
「じゃ、また」
 電車に乗り込むと、ガラス窓越しに手を振る。ココロは勿論、フレアも美沙君も山下君も手を振っていた。そして、電車が走り出すとそれを追いかけていくココロ。
 あぁ……感動の別れ――!!!
 その場に居た、誰もがそう思ったことだろう(フレア達3人は除くが)。 しかし、その感動の別れは電車の窓から出たファルの叫びによって、かき消された。
「言い忘れてたけどーーーっ!! 俺とビスターとヴァルア、新学期にR学園に転入すっからーーっ!!」
「「「――何いぃぃいぃぃっっっ?!?!?!」」」
 走り去る電車から聞こえてきた声に、追いかけていたココロは歩みを止め、美沙君と山下君とともに絶叫した。……何だったんだ、今の僕の感動のシーンは何だったんだ!!……そんな事を考えていたのかどうかはわからないのだが。そして、フレアはと言うと――
「……そんなこったろうと思ってたけどな」
 1人冷静に、絶叫する3人を置いて先に家路についていた。





 まぁ、何はともあれ。 今年も1年、よろしくお願い致しますっ!!!





 F i n .
ど、どうだってでございましょうか?!
間に合わないーーっ!そんな事を言いながら必死で仕上げたので滅茶苦茶なんですが;(シャレにならん
とりあえずオールキャラ目指してみました。いや、主役級の人たちだけだけどね。
最後らへんは気にしないでください。今年中には明らかになる謎ですんで。(ホントか?
ではでは、ここまでお付き合い頂きありがとうございました。

2004.1.1 - 執筆