ある年、ある月、ある日。
 いつでも黒子は観察、観察。
 観察相手は魔術師さんとそのお弟子。
 彼らの事を見守って、黒子は今日も茶を啜る。
 でも何処か気持ちが晴れずに、毎日毎日、日記を綴る。

 ある年、ある月、ある日。
 そんな黒子が出会ったのは、まだ若い女の人。
 その人は「お話」が好きで、空想にふけるあまり、森で迷ってしまったの。
 黒子はふと思う。
『この人は、僕の毎日を変えてくれるだろうか?』
 黒子はその人に提案を投げかけた。
「僕らの事、「話」にしてみませんか?」
 その人は一瞬呆けたけれど、すぐににこっと笑って言った。
「私でよければ」

 ある年、ある月、ある日。
 今日も黒子は観察、観察。
 日記はすぐに白から黒へ。
 三日に一度来る人に、黒子の日常伝える為に。
 三日に一度来る人に、黒子の日常を書いてもらう為に。



 そんな黒子の日常伝え、面白可笑しく綴りましょう。

 白から黒へ変えられた、黒子の日記を読みながら、
 その人は、優しく笑ってペンをとった。